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そして俺の父方の先祖には伝説の勇者とかいう人間がいたそうだ。……あくまで伝承で、だ。
なんでも遥か昔から続いていた他の次元からの侵略者――魔族とかいったかな――との戦いに、
一度は終止符を打った凄い人らしい。
本当に伝説の勇者なんて実在してたかどうかは誰も知らないのに、その人のことを知らない人はいない。
俺の父親も祖父も曾祖父も、剣を持って果敢に戦うような人物でない。平凡で無骨な彫刻技師だ。
だから自分が勇者の血を引いているだなんて実感できなかったんだ。
4歳の誕生日の夜、国王様に城へ呼び出されるまでは。
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