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梅雨と言う気持ちまでじめじめしそうな時期が一週間前に終わり、夏へ向けて周りの雰囲気もそれらしい物へと変わってきた。
そんな雰囲気に高校生、と言う生き物はやたらと敏感らしく、クラスのあちこちからは夏をどうするのか、と言うあまり意味のない会話で盛り上がっているようだ。
俺、田宮 園(たみや その)は実際の所あまり夏が好きではない。なぜならただ暑いだけでそれ以上でも、それ以下でもないからだ。
だけど、アイスやら冷たい物全般がおいしくなる。と言う点では合格をあげてもいい。
そんな自分の夏に対する気持ちを頭の中で自問自答していると
「お前ほんとにつまらなさそうだな。」
そう笑いながら話し掛けてきたのは隣の席の武藤 翔(むとう かける)だ。幼稚園からの親友で腐れ縁って奴だ。
「お前はそれを俺に聞くのか?」
苦笑いしながら返す。
「お前の性格なんて重々承知さ。嫌味だよ嫌味。」
嫌味だと自ら言っているが、そう感じないこいつの人柄は好きだ。
身長は175くらいあるだろう。筋肉質な体に凛々しい顔立ち、人当たりがよく、クラスの大半の奴には頼りにされているリーダーみたいな奴だ。
だからこそ人付合いのあまり得意じゃない俺とでも釣り合うのだろうがな。
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