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「………休み、だと」
わざわざ俺が早起きしてきてやったのに、学校の道場の扉は閉まっていた。
わざわざ……わざわざお前、昨日早めに寝たんだぞ!!数葉……じゃなくて、空手するために!!
とりあえず腹が立ったので、地面を蹴っておく。
バッグの中身を確認……良かった、不幸中の幸い、プライベート用の財布があった。
うちでは、財布は学校用とプライベート用にわけるようになって……って……なんでこんなに説明ばっかりしなきゃいけないんだ……
とりあえず、これでこのまま遊びにいける。
そう思い、振り返った矢先、事件は起きた。
少し茶色の髪を、ポニーテールにし、赤い色に、一本白い線が走っているジャージを着た、身長が俺の胸元位までしか無い少女……数葉が、そこに立っていた。
「先輩!!おはようございますっ!!」
男子顔負けの声で気合いの入りまくった挨拶をする数葉。関係ないかもしれないが、体柔らかいな……
「お、おう、おはよう」
思わず怯んでしまう俺。何やってんだ!!学校の頭がこんなんで!!
俺は自分の頬を叩いて、気合いを入れる。
「それにしても、先輩今日早いッスね~、いつもは午後三時くらいに来るのに」
数葉が、ニコニコしながら言ってくる。
……午後三時?
俺は慌てて腕時計を見た。
現在時刻、午前九時。
………いつも起きるのは、二時三十分くらいなので、そこから部活に行けば、まだ後三時間から四時間、下手すれば六時間くらい練習はある。
空手部は、部活は午後一時スタートだ。
……俺、なんか美貴の馬鹿が移ったみたいだ。
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