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「……まぁ、色々あってな」
まさか時間を間違えたなんて言える訳が無いので、誤魔化しておく。
「へ~……先輩も大変なんスね~」
数葉が感心したように声をだす。
なんだ、お前は俺が暇人に見えるのか、否定はしないが。
「それより、お前こそなんでこんなに早くから来てるんだ?」
「自主練ッス!!」
この野郎……即答しやがった。
数葉はかなり大声で叫んだ。
本当に、コイツは空手好きなんだな……
数葉のこういう所を見ると、俺の生き方っていうか……考え方とか考えさせられる。
「……なぁ数葉、たまには息抜きがてら、遊びに……」
「嫌ッス!!」
……人の話は最後まで聞くもんだぞ。
またしても即答しやがった。
しかし……まともな理由言っても絶対に断られるな……よし、ここは一つ、数葉に空手以外の楽しみを教えるために、嘘をつこう。
「まぁ、人の話は最後まで聞くもんだぞ?」
「む……仕方ないッスね……」
しぶしぶ、聞く気になったらしい。
「道着を買いに行くんだが……どうも良くわかんないから、一緒に来てくれないか?」
まぁ、その前にゲーセン行ったり、昼飯食うために、ファミレスに寄る予定だがな。
数葉は、顎に手を当て、唸りながら考え始めた。
まぁ、数葉にとっては、大好きな空手の部活を休んでまで行くか否かの大変な決断なのだろう。
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