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「よし……なら、とりあえず時間潰すぞ」
あと五時間か……本気でファミレス行かないと、土田舎に飯屋あるって聞いたこと無いぞ……海はあるらしいが
「なら……一回組み手してくださいッス!!」
「嫌だ」
即答してやった。
数葉の顔が絶望に染まる。
普段明るい表情しか見たことが無いので、このような表情は見たことがなく、むしろ新鮮味を感じてしまう自分がいた。
「な……なんでッスか!!」
数葉がズイッ、と顔を近づけながら……って顔近っ!!
「それはお前あれだ、女子に手をだしたら俺の面目丸つぶれじゃないか」
少なくとも、数葉には手を出せない事は確かだ。
もっともらしい言い訳を聞いて、数葉はやはり渋々といった様子で、離れた。
「確かに……私じゃ先輩に勝てるわけ無いッスもんね……」
そして、小さく溜め息をつくと後ろを向いてしばらくぶつぶつ小声で言ってから、振り返った。
「仕方ないッス、私も大人ッスから、今日は先輩にエスコートしてもらうッス」
そう言って、ニッコリ笑う数葉。
不覚にも、頬が熱くなった気がした。
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