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そこにはやつれが目立つものの、1週間前に自分を刺して逃げた青年がいた。
何か質問をされているのだろう、青ざめた顔で、時折頷いたり首を横に振ったりしている。
「間違いありません。でもなぜ私を刺したんでしょう?」
「理由は言わないんですよ。『山根 蒼』この名前に聞き覚えは?」
「全くありません」
聞いた事も無い名前に見た事も無い顔。
狐に包まれるとはこういう事をいうのだろうかと、克彦は無意識に腹に残る傷跡を撫でながら思った。
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