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「では面識は無いんですね?」
麻酔から醒めた俺を待っていたのは刑事の事情聴取だった。
親切な通行人は救急車だけでなく警察も呼んでくれたらしい。
最も、刺し傷を治療した病院が黙っているはずなど無かったが。
「面識もなにも、初めて見た顔ですよ」
麻酔が切れて痛みを訴え始めた身体に、知らず知らず渋面になる。
「笹本克彦さん。株式会社『和光』の課長さんで間違い無いですか?」
「どうしてそれを?」
自分で喋ってもいない情報を訝しんだ克彦が視線を向けると、刑事は1枚の名刺を見せた。
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