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「よいしょっ」
深緑の森の中ではかなり目立つ、草原のような黄緑の髪を持つ少年が、自分の背より少し高い程の幅を持つ根を気合いの声を漏らしながらよじ登って越え、再び地に足をついてから一息つき、それを見上げた。
そこには間近でみれば空に届くかという程高く見える大樹。
少年は辺りを見回すと、大樹へ向かいそうな道を選び、また険しい道を進み始めた。
根を越え、木々の間を跳び、としていると、やがて棘(いばら)が壁のようになっているところにたどり着く。
そこ一部に集まっているのかと思ったら、違う。
棘の壁は何かを取り巻くように、侵入者を防ぐかのようにどこまでも続いていた。
さて、どうしようかと迷っていると、ベルトの右側に吊ってあるエーテル無線から声がし、少年は無線を取る。
「はい」
『俺だ。そっちはどうだ?』
少年の部隊の隊長の声だと少年は気付き、棘の壁を見た。
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