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「棘の壁でつまってます」
『おまえもか…。俺もつまっちまってなぁ、火を付けてみようかと思って軽くエーテル放ってみたが…。焦げただけで隙間すらできねぇ』
苛立っているのが声でわかった。
「俺がエーテルで操作してみます。他の木属性の人にも頼めますか?」
『ん、分かった、任せろ。何か変化があったら連絡くれよ~』
「はい」
『あと魔物が出たら気をつけろよ、アリア』
そこで無線から声が途絶えた。
少年――アリア=ウッドグレスはもう一度辺りを見回す。
これから『エーテル』という魔法を使うため意識を集中させるのだ。
隊長は心配してくれたが、残念だが、魔物が出てからじゃ遅い。
気配がないことを確認し、アリアはその場に胡座をかいた。
腰から二本の片刃の短剣を抜き、クロスして、刃に書かれた紋様が重なるようにする。
それを地面に置いて、アリアはエメラルドの瞳を閉じた。
アリアは紋様を家の門とイメージし、同時に自分のエーテルがそこを通り抜けるイメージもする。
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