第1章

12/54
前へ
/486ページ
次へ
「いや、涼介はダメだ」 「なんでだよ」 涼介に差し出しかけた手を止めて訊いた。 「コイツは何気にけっこうモテるからな。美咲ちゃんを取られかねない」 「別にモテてねぇって」 涼介は否定したが、女子に人気があるのは確かだった。 学年では分からないが、少なくともクラス内では1、2位を争っていた。 「そんなこと言ったって、俺は全く面識ないぜ。むしろ健志郎の方があるだろ、一年のとき同じクラスだったんだから」 海人がそう言うと、健志郎は少し目をそらして答えた。 「おまえ、里海と仲良いだろ。里海は美咲ちゃんと仲良いんだから、その2人を誘えば確実だと思ったんだよ」 そんな健志郎の様子を見て、涼介が笑みを浮かべて言った。 「いいんじゃないか、海人、引き受けてやれよ」
/486ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3011人が本棚に入れています
本棚に追加