第1章

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それはなんとなく知っていたが、人前で口にすることはなかった。 理由は……自分でもわからない。 なんとなくだ。 翔太が顔を近づけてきて言った。 「里海ちゃんに手ぇ出したら許さねぇぞ」 「出さねぇよ、今さら。それに、美咲ちゃんの方がかわいいだろ」 翔太はフッと笑って言った。 「バカ野郎。あれは神だ。いくら頑張っても届かねぇよ」 翔太に言われ、ちょっとムカついた。 確かにそうかもしれないが、自分よりモテないやつに言われたくない。 「よし、俺がアドレスゲットしてやる」 「あー無理無理、止めとけって」 「そんなのやってみねぇとわかんねぇだろ。チャンスはある」 そんな話をしているうちに学校に着いた。 靴を履き替え、教室へ向かった。
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