第1章

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しかし、眠りにつきかけたところで、背中をど突かれ、再び起こされた。 振り向くと、いつの間にか後ろの席に岡田涼介(オカダリョウスケ)が座っていた。 涼介とは2年連続で同じクラスで、部活も同じバスケ部なので、何かといつも連んでいる。 「よう、治ったのか?」 「知らん。熱は下がった」 海人は壁にもたれ掛かった。 涼介はバッグから教科書を取り出し、パラパラと捲り始めた。 海人も涼介も成績は学年320人中10~30位の間をさ迷っており、一応上位につけている。 「おまえがこんな早い時間に教室にいるなんて珍しいな。なんかあったのか?」 涼介は教科書を見ながら訊いてきた。 「別に」 「朝練やるつもりで学校に来たら、テスト期間だったってところか」 「わかってるんなら訊くなよ」 海人もバッグから教科書を取り出し、パラパラとページをめくる。 読むというよりは、ただ開いて眺めているだけだ。
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