第1章

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それから10分も経たないうちに、教室の戸が開き、松井健志郎(マツイケンシロウ)が入ってきた。 健志郎は戸も閉めずに、廊下側の自分の席にバッグだけ置くと、こちらに向かってきた。 何かいいことでもあったのか、ニコニコしている。 「よぉ、おまえらにビッグニュース持ってきたぜ」 健志郎は海人の隣の席のイスを引き、そこに腰掛けた。 「おまえのビッグはたいしたことねぇよ」 涼介が鼻で笑って言った。 健志郎は、涼介の言葉に少しムスッとしたようだが、無視して続けた。 「おまえら、VirtualАceって知ってるよな?」 VirtualАceというのは、新型ゲームの名前だ。 仮想空間でプレイヤーが直接ゲームを楽しむことができる夢のゲームで、ニュースでも話題になっている。 しかし、家庭用ゲーム機ではない上に、一度にプレイできる人数は極僅かなので、料金がかなり高額になるのではないかと言われている。 できるものなら是非やってみたいが、海人のような高校生が手を出せるゲームではない。
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