第二十四話:『妄執の末路』

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室町が咄嗟に右腕を差し出すが、それを巧みにすり抜けて玻璃崎の生首は室町の首筋に噛み付いた。 「往生際が悪すぎますよ!」 『何とでも言いなァッ! 私はやると言ったらやるんだよォォッ!』 空間に舞う粒子が急速に回転を始め、室町の身体へ突入していく。 「カレンッ!」 それを見た獅島は、考えるよりも先にその中へ飛び込んだ。 「獅島ッ!」 すかさず、羽葉木が獅島へ小さな結晶を投げ付ける。 「魚宮が守った『第13の力』……『超身体』だッ!」 小さな結晶はまだ塞がりきらない獅島の傷に埋もれ、瞬く間に吸収された。 爆発的な瞬発力が宿り、獅島は肉体が弾け飛ぶような激痛を抑え室町を捉える。 刹那、凄まじい力が獅島の内部に浸食し、その全てが器から離れてしまう感覚を抱く。 「く……ッ!……引き込まれる……!」 『好都合だッ! テメーの力も一緒に頂いてやるよッ!』 「コウ! 私から離れなさいっ」 獅島、玻璃崎、室町。 三者が同時に声を張り上げる中で、獅島の手はしっかりと室町を掴み『瞬間移動』を発動させた。 『恐るべき子供達』の力を室町へ向ければ、それは瞬時に吸収され、奪われる。 例えそれが危害を加えようとしていなくとも、室町花恋を意識して使用するのであれば同じことである。 獅島はそれを十二分に体感した上で、身に宿る『第10の力』を発動させた。 透き通る小さな結晶が、獅島の身体から浮き出てくる中で。 「後、頼む」 「獅島……!」 二人と一つの精神体は、負の力満ちるこの場から忽然と姿を消したのだった。
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