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室町が咄嗟に右腕を差し出すが、それを巧みにすり抜けて玻璃崎の生首は室町の首筋に噛み付いた。
「往生際が悪すぎますよ!」
『何とでも言いなァッ! 私はやると言ったらやるんだよォォッ!』
空間に舞う粒子が急速に回転を始め、室町の身体へ突入していく。
「カレンッ!」
それを見た獅島は、考えるよりも先にその中へ飛び込んだ。
「獅島ッ!」
すかさず、羽葉木が獅島へ小さな結晶を投げ付ける。
「魚宮が守った『第13の力』……『超身体』だッ!」
小さな結晶はまだ塞がりきらない獅島の傷に埋もれ、瞬く間に吸収された。
爆発的な瞬発力が宿り、獅島は肉体が弾け飛ぶような激痛を抑え室町を捉える。
刹那、凄まじい力が獅島の内部に浸食し、その全てが器から離れてしまう感覚を抱く。
「く……ッ!……引き込まれる……!」
『好都合だッ! テメーの力も一緒に頂いてやるよッ!』
「コウ! 私から離れなさいっ」
獅島、玻璃崎、室町。
三者が同時に声を張り上げる中で、獅島の手はしっかりと室町を掴み『瞬間移動』を発動させた。
『恐るべき子供達』の力を室町へ向ければ、それは瞬時に吸収され、奪われる。
例えそれが危害を加えようとしていなくとも、室町花恋を意識して使用するのであれば同じことである。
獅島はそれを十二分に体感した上で、身に宿る『第10の力』を発動させた。
透き通る小さな結晶が、獅島の身体から浮き出てくる中で。
「後、頼む」
「獅島……!」
二人と一つの精神体は、負の力満ちるこの場から忽然と姿を消したのだった。
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