第二十四話:『妄執の末路』

7/15
前へ
/579ページ
次へ
怒りを剥き出しにする獅島から顔を背ける室町。 俯いたその瞳から、止めどなく涙が零れ落ちた。 「ごめん……なさい……」 消え入るような声が、絞り出される。 「お、おい」 呆気に取られた獅島が何か言葉を掛けようとしたその時。 獅島の頭部を、何かが包んだ。 「なあんだ……ヒヤヒヤしたわ」 玻璃崎だった。 玻璃崎は2人の間に割って入ると、嘲るような視線を室町に向ける。 「室町花恋、よく聞きな? 今、コイツの頭を『拒絶』で包囲した。少しでも二人のどっちかが妙な動きをしたら……解るよなァ?」 冷ややかで、何の温もりもない声を出す玻璃崎。 「何が狙いだ……!」 「先ァずはァ」 大仰に声を張り、玻璃崎燕は獅島の肩を銃口で突く。 「室町、テメーが飲み込んだ魚宮の『操電』と南見川の『発火』を出しな……」 「バカか。一度取り込んだ力を排出するだと?」 「ッるせー!」 食らい付く獅島の身体を足蹴にし、玻璃崎燕は室町へ手を差し出す。 「ほら、ほら、ほら! 早くしなッ」 「ツバメちゃん……貴女……」 室町は軽く頭を押さえて呻くと、目を細めて玻璃崎燕を見詰めた。 「何してんだ!」 玻璃崎の手から、一振りの剣が現れる。 それを獅島の脇腹に数センチ沈めると、室町が短い悲鳴をあげた。 不思議と、獅島から出血は無い。 「まさか、これは……?」 「石上の『サイコブラスト』だ。後もう数センチ刺せば、テメーは廃人だぜ?」
/579ページ

最初のコメントを投稿しよう!

609人が本棚に入れています
本棚に追加