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玻璃崎燕は身を仰け反らせる程の高笑いをしたかと思うと、急に真顔になって室町へ視線を移す。
「どーすんだ、アタマァブッ飛ばすのと、廃人と好きな方選んでいいぜ?」
「……分かりました」
室町は思案の後に呟き、一歩前に進み出た。
凄まじい空気の歪みに、獅島は身体が千切れそうになる感覚を抱く。
その直後、室町の掌に透き通る小さな結晶が二つ姿を現した。
「持って行きなさい」
「可愛いトコロあるじゃないか。そんなにコイツが大事かい?」
抑揚の無い声で呟く室町を嘲笑混じりに見遣る玻璃崎。
結晶を乗せた手を差し出すスバルに、玻璃崎は眉を吊り上げた。
「投げて渡しな!」
動こうとしない室町を一喝する。
「テメーに触れたらロクなことがねェのは解ってんだよ!」
「賢しい……!」
鋭い語気で言い放つ玻璃崎に舌打ちし、室町は渋々結晶を放り投げた。
緩やかな放物線を描き、透き通る小さな結晶は室町の手を離れ玻璃崎に投げ渡される。
「よぅし、良い子。そんじゃあ」
玻璃崎は薄笑いを浮かべて呟くと、獅島を囲った『ブロック』を急速に縮ませ始めた。
「ぐあッ……!」
圧縮される空間に締め付けられ、獅島から苦痛の悲鳴が吐き出される。
「約束が違います!」
「そうだっけかァ?!」
激昂する室町へすかさず銃弾を放つ玻璃崎。
精神を揺さぶられた室町は防御もままならず、脇腹に朱を散らせた。
「やっぱり頂けるモンは頂かねえとなあ?」
「ツバメちゃん……貴女って人は……」
耳障りな高笑いが、室町の言葉を掻き消す。
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