609人が本棚に入れています
本棚に追加
その間に獅島を囲む『ブロック』は収縮を進ませ、玻璃崎は更に二発の弾丸を室町へ向けて撃ち込んだ。
「さらば、天才超能力者諸君」
最大の侮蔑を込めて言い放つ玻璃崎。
弾丸はやけに緩やかに室町の胸へ目掛けて飛来する。
そして。
肌を穿つ前に、『別の弾丸』によって撃ち落とされた。
「ああっ?!」
予想だにしなかった事態に叫び声を上げる玻璃崎。
その腕を、不自然に軌道を変えた弾丸が何度となく貫いては返し、貫いては返しを繰り返す。
「ッんだコラァ!」
血飛沫を上げる腕で標的を探る玻璃崎の懐に、一人の戦士が飛び込んだ。
「テメー!」
「間一髪、だな」
リボルバーの持ち手で玻璃崎のこめかみを殴打し、よろめいた所に蹴りを突き刺す。
玻璃崎はそのまま1メートル程後方に吹き飛ばされ、床に叩き付けられた。
同時に、獅島の『ブロック』が解かれる。
「羽葉木!」
「待たせたな、獅島。早く室町と魚宮を安全な所へ連れて行け」
「無事だったのか……!」
驚嘆する獅島に力強い頷きを返し、羽葉木はリボルバーを構える。
「状況は好転してはいない。私も逃げながらここに辿り着いたが、民衆の多くは室町を巨悪の根源として押し寄せてくる……ここに留まるのは危険だぞ」
玻璃崎と獅島の間に立つ羽葉木は、そう告げると視線の合図を送る。
「コイツは任せろ。佐坂は『海咬龍』を利用した上で制圧する気でいたようだが、結果的には利用された……私はそういう駆け引きは苦手でね……」
最初のコメントを投稿しよう!