第二十四話:『妄執の末路』

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その間に獅島を囲む『ブロック』は収縮を進ませ、玻璃崎は更に二発の弾丸を室町へ向けて撃ち込んだ。 「さらば、天才超能力者諸君」 最大の侮蔑を込めて言い放つ玻璃崎。 弾丸はやけに緩やかに室町の胸へ目掛けて飛来する。 そして。 肌を穿つ前に、『別の弾丸』によって撃ち落とされた。 「ああっ?!」 予想だにしなかった事態に叫び声を上げる玻璃崎。 その腕を、不自然に軌道を変えた弾丸が何度となく貫いては返し、貫いては返しを繰り返す。 「ッんだコラァ!」 血飛沫を上げる腕で標的を探る玻璃崎の懐に、一人の戦士が飛び込んだ。 「テメー!」 「間一髪、だな」 リボルバーの持ち手で玻璃崎のこめかみを殴打し、よろめいた所に蹴りを突き刺す。 玻璃崎はそのまま1メートル程後方に吹き飛ばされ、床に叩き付けられた。 同時に、獅島の『ブロック』が解かれる。 「羽葉木!」 「待たせたな、獅島。早く室町と魚宮を安全な所へ連れて行け」 「無事だったのか……!」 驚嘆する獅島に力強い頷きを返し、羽葉木はリボルバーを構える。 「状況は好転してはいない。私も逃げながらここに辿り着いたが、民衆の多くは室町を巨悪の根源として押し寄せてくる……ここに留まるのは危険だぞ」 玻璃崎と獅島の間に立つ羽葉木は、そう告げると視線の合図を送る。 「コイツは任せろ。佐坂は『海咬龍』を利用した上で制圧する気でいたようだが、結果的には利用された……私はそういう駆け引きは苦手でね……」
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