第二十四話:『妄執の末路』

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手元に飛び込む結晶を眺め、艶やかな笑みを浮かべる室町。 「とっても綺麗に磨いてくれたんですね……やはり、命を懸けたやり取りが最も命を輝かせる……」 満足気に結晶を飲み込むと、室町は続けて飛び込んできた玻璃崎の精神を鷲掴みにする。 「私をコロスのかあっ!」 「どのみち、生かしても死ぬでしょう」 人の最期とはこうも儚いものか。 室町の手が玻璃崎の頸を握り潰すと、くっきりとした大きな二重の瞳が見開かれ、精神体が瞬時に霧散する。 『いやだいやだいやだ』 空間に響き渡る玻璃崎の声。 霧と消えた思念の粒子が風に揺られて集まり始める。 「しぶとい」 半ば呆れたように室町が溢す。 その間に玻璃崎の精神体はその頭部を中空に形成し、残った粒子で室町を取り囲み始めた。 『私は……全てを手に入れるんだ……』 最早、超能力云々の話ではなく、ただ強烈に『生き残りたい』と願う玻璃崎の執念が呼び込んだ、奇跡とも呼べる現象だった。 「なんて奴だ、玻璃崎」 「最早妖怪だな」 唸る獅島の脇で、羽葉木はリボルバーを構える。 獅島もトカレフを抜き、二人の銃口から同時に弾丸が飛び出した。 だが、玻璃崎の精神体はそれを透過させるのみで、中空に浮いたままの生首がけたたましい高笑いを上げる。 『このままコイツの身体に忍び込んで……乗っ取ってやるッ!』 咆哮と共に、凄まじい勢いで玻璃崎の頭部が室町に食らい付く。
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