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「スバル、よく聞け」
伊達は真剣な面持ちに変わると、スバルの肩を掴んで力強く囁いた。
「オレの力は知っているか?」
「伊達くんの……?」
伊達伸太郎の力は、『深淵』と名付けられた異端の能力である。
それは伊達本来の人格が、接触した他人の人格へ入り込み『もう一人の伊達(コピー人格)』を造り出すという能力だった。
反対に、自身の中に他者の人格を取り込んで統合させる力も持っている。
それは精神の雑草、若しくは寄生虫とも言えた。
「要するに、オレの力は死なない為の保険だ」
伊達は自らを嘲笑うかのように続ける。
「オレが嘉村伸太郎だったのも、双葉や石上が『こっち』に着いたのも全て超能力だ……カリスマなんかじゃない」
死亡した際、獅島の手によって嘉村の身体に精神を移された伊達。
そうして他者の身体を支配したように、双葉結樹や石上衣那の脳にも伊達自身のコピーを植え込み、『REDRAM』の志と同調するように仕向けた。
「なんて、恐ろしいこと……」
震えるスバル。
伊達はそうやって自分の分身を増やし、同志を獲得していったのだ。
「そして、人格を取り込んだ場合」
その力や記憶は、伊達のものとなる。
「だから一通り『覚えた』」
「……最ッ悪ッ!」
スバルの平手が、伊達の頬を打った。
「貴方の我が儘に、どれだけの人が犠牲になったと思ってるの? 貴方は確かに友達想いかもしれないよ……だけど、自分の周りさえ良ければそれでいいなんて……そんな理屈……!」
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