Saya.またあの世界に

7/8
前へ
/150ページ
次へ
―――そう。すべてをあきらめなければ、これから先、お前にはあのような世界が訪れるだろう。これからお前が生きる人生には、悲しいことや苦しいこと、楽しいことや嬉しいこともあるだろう ―――だがそれらを全部含めて、あの世界と似たこれからの世界、お前の青春がこの先にあるんだ ―――そして、お前を待っているやつもいる あたしを、待っているやつ…? ―――お前を待っているやつを、お前は裏切るのか そんなの、知らないッ! あたしを待っているやつって誰なのよっ! ―――お前もよく知っているはずだ あたしが、よく知っている…?  ―――あきらめたら、すべてが終わる。だが、あきらめなければ時は再び動き出す――― ―――生きろ――― ―――生きて、これからの世界でお前を待っているやつらのもとへ来いッ! 生き……る……。 ―――見せてみろ あたし、は…… ―――タイムマシンなんてなくったって あたしは……! ―――お前自身の手で、お前の未来を、青春を掴みとれッ! あたしは、生きたい……!  『沙耶』 え…。理樹、くん……? さっきは幻聴だと思った。 これも幻聴だろうか。 …今のあたしにとって、幻聴だろうが本物だろうが関係ない。 理樹くんの声が聞けるなら、なんだっていい! 『僕は、きみのことをずっと待っているよ』 ああ、やっぱりそうだ。 あたしをこれからの世界で待ってくれているのは 理樹くん、なんだ……。 『沙耶、待ってるよ。どこまでも……』 理樹くんッ! その時、降りかかっていた闇に光が射し込んだ。 あたしは必死に、その光に向かって手を伸ばした。 まだ死にたくない。 あたしは、これからも生きたい。 そして、あたしを待ってくれているヒトに、会いたいんだ…ッ! あたしは―――!  
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

641人が本棚に入れています
本棚に追加