Riki.少女の名前

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鈴「理樹、元気か?」 ベッドで本を読んでいた僕のところに鈴が入ってきた。 僕の頭に巻かれた包帯はまだ取れないけど、みんなよりは怪我は軽い。 怪我が軽いのは、僕が二番目で、そして鈴が一番怪我が軽かったため、鈴はこうして歩きまわることもできている。 鈴の腕に巻かれた包帯が痛々しいが、目立つ所といえばそこだけだった。 理樹「うん。鈴は?」 鈴「あたしもだ」 鈴はニコリと微笑むと、僕のベッドのそばにあるイスに腰掛けた。 腰を下ろし、イスに座ると同時に鈴の髪留めがチリンと鳴った。 鈴「理樹……まだ頭の包帯は取れないのか?」 理樹「う~ん。先生の話によるとあと三日は経てば取れるって言ってたよ」 鈴「そうか、まだ痛むのか?」 理樹「ちょっとだけね。でも痛み止めや薬も飲んでるから、大丈夫だよ」 鈴「そうか。良かった」 鈴は本当に安心してくれたかのようにホッと安堵の表情を見せてくれた。 鈴「謙悟や真人たちのところにも行ってきた」 理樹「へぇ。どうだった?」 鈴「相変わらず馬鹿どもだった。真人は恭介や謙悟の次にジュウショーだったくせに筋トレしようとしてすごく痛がってた。それでも『俺の筋肉はこんなことで負けねぇー』とかうざいこと叫んで、看護婦の制止も聞いてなかったな。ま、最後はあたしの蹴りで解決したが」 理樹「あはは…。駄目だよ、鈴。真人も怪我人なんだから。重傷とわかっているのに蹴るなんて…」 鈴「だけどあれくらいしないと静まらなかった。それにあの馬鹿はあれくらいで死なない」 理樹「そうだけど……」 鈴「謙悟も腕の包帯が取れてなかったな。筋トレしようと暴れる真人を呆れた目で見てるだけでなにもしなかったな」 理樹「そっか。……恭介は?」
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