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理樹「うん。恭介がハマるだけのことはあるね。凄く面白かった」
僕がそう言うと、恭介はまるで子供のように本当に嬉しそうに
恭介「だろうっ? この面白さが共有できるなんて、やっぱり俺の見越した通りの男だったな、理樹」
と、ニッと白い歯を見せながら笑った。
理樹「あはは…」
自分の好きな漫画が他人に面白いと言われたことが本当に嬉しいみたいだった。
恭介「特に主人公の女スパイが最後、敵のラスボスを倒すところなんて痺れるぜ」
理樹「まぁ……パートナーの人が気の毒だったけどね」
やっとの思いで主人公の女スパイは強敵のラスボスを倒すに至るのだが、その過程には女スパイのパートナーの苦労もあった。
なんだかそのパートナーの苦労がリトルバスターズでの僕の境遇に似ていて、親近感が沸いた。
恭介「そこも燃えるところだろう。ま、アクションも良いがギャグ要素も最高だったろ」
理樹「うん」
恭介はその後もその漫画の内容の面白いところやお気に入りのところを楽しそうに僕に話した。
そんな中、僕はある思いに耽っていた。
自分で漫画を読んでいるときも感じていたことだったけど、こうして改めて恭介によっておさらいをすると、どこまでもこの漫画の内容が他人事ではないように聞こえてくるのだ。
そして、とある思いが徐々に膨らみ、やっぱり、あの名前が思い浮かぶばかりだった。
理樹「……恭介」
つい、僕の口は漏らしていた。
恭介「ん。なんだ、理樹」
弾む声で語っていたのを一旦止めて、恭介は僕の問いかけじみた声に応じる。
こんなことを恭介に聞いてどうするんだ、と自分でも思った。
だけど口が勝手に動いていた。
理樹「この主人公の女スパイだけどさ……その…」
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