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ずっと引っかかっているこの気持ち。
きっとこの答えが近くにあるのかもしれない。
恭介はそれを僕に教えてくれた。
僕はドアの向こうで漫画を読んでいるであろう恭介に感謝しながら、その場から離れ、真人が筋トレして待っているであろう寮の部屋へと帰った。
部屋に戻った僕は、とりあえず明日の宿題をやろうと机に向かった。
後ろでルームメイトの真人が
「フンッ!フンッ!」
と筋トレをしていたが、それもいつもの日常風景だった。
真人「お、なんだ理樹。宿題か?」
理樹「うん」
カバンを開けながら、僕は答える。
真人「そうか、じゃあ……」
理樹「写すのは駄目だよ、真人。ちゃんと自分の力でやらなきゃ」
真人「これから俺の言おうとしていたことをズバリ当てやがった!」
理樹「いつものことだからね。…まぁ、これがいつものことって言ってる時点でもう色々と駄目だけど……」
真人「そんな固いこと言わずにさ。見せてくれよ理樹~」
理樹「もう…っ。たまには自分一人の力でやってみれば………って、あれ?」
真人「どうした理樹?」
カバンを漁っていた僕は、ふと気付いた。
さらにカバンの奥まで、隅々までゴソゴソと漁ってみるが、やっぱりない。
理樹「……ノート、教室に忘れてきちゃった」
真人「それじゃあ宿題写せねぇじゃねえか」
真人の場合だと、やっぱり写す前提なんだね……。
理樹「僕の場合だと宿題が出来ないってことだね。……仕方ない、教室まで取りに戻ろう」
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