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しかしどうしても思い出せない。
あの名前と言い、上手く思い出せないもどかしさはもう懲り懲りだった。
とりあえず僕はズレた机を直してから、自分の机に向かった。
そういえば……教室にいたあの娘、僕の机の前にいたような……?
一瞬だったから確証はないけど。
僕は机の中から目当てのノートを取り出して、教室を出ようとした。
理樹「あれ?」
ふと、出入り口のそばに何かが落ちていた。
拾ってみると、それは生徒手帳だった。
きっとさっき教室にいた娘が、慌てて出ていった際に落としたのかもしれない。
僕はこの出入り口の反対側にいたから、彼女はやっぱりここから出ていったのだ。
落とし主に返してあげないと。
そうしたら僕までこの時間に教室にいたことがバレるかもしれないけど、お互い様だ。
名前を見てみる。そこには――
理樹「あ…や…あや?」
この名前は初めて聞いた名前だった。
ウチのクラスにはいない。
学年は同じだけど、きっと別のクラスだろう。
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