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理樹くんがまた驚いた表情をする。
理樹「それってUFOよりすごくない?」
沙耶「でも、それぐらいすごいものでもなければ、世界中からスパイなんて送り込まれてこないわよ?」
理樹「それもそうだけど……タイムマシンねぇ…もしほんとに実在するなら、使ってみたいよね」
沙耶「理樹くんはいつに行きたい?」
理樹「そうだね…百年ぐらい未来に行って、文明の進展が見たいかな」
理樹くんは想像を膨らませて、幼い子供のようにちょっと楽しそうに微笑んで、言葉を紡いだ。
理樹「それこそ、車は空を飛んでいるかもしれないし、宇宙旅行も賑わっているかもしれないし、ゲームだったら完璧にバーチャル体験できるようになるんじゃないかな」
理樹くん、まるで子供ね……。
あたしはそう思うと、クスッと笑みをこぼしてしまった。
沙耶「それは楽しそうだけど、あたしは嫌かな…」
理樹「どうして?」
沙耶「地球が滅んでるかもしれないじゃない」
理樹「あ、そうか、それは考えてなかったなぁ……」
沙耶「未来に着いた途端、すぐ死ぬなんて馬鹿げてるでしょ」
理樹「そうだね」
理樹くんはあははと頭を掻きながら笑う。
あたしもクスリと微笑んだ。
理樹「じゃあ、沙耶は未来じゃなく、過去に行きたいんだね」
沙耶「………」
――そう、だね。
あたしは未来なんかより、過去に行きたいんだ。
沙耶「そうね」
顔を俯かせて、少しばかり遠い目になった。
沙耶「もし、できたら……小さいときに戻りたいかな」
過ぎ去った時は二度と戻らない。
過去に戻ってやり直せるほど人生は甘くないことだって知っている。
でも……
そんな固いことはなしで。
子供のように、あの時の小さいころみたいに、願わせてよ。
沙耶「そしてやり直したい」
理樹「でもそれだと僕たちは出会えないよ。それでもいいの?」
沙耶「それはやだな」
力なく、あたしはあはは…と笑う。
沙耶「じゃあ、理樹くんも一緒にどう?」
理樹「…それもいいかもね」
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