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少しだけ夢のように思う。
いや、こんな深い地下迷宮が学校の下にあるんだ。
その奥にタイムマシンだって、なんだって、ありえそうだ。
沙耶「さぁ、理樹くん。そろそろ行きましょう。お弁当は食べ終わった?」
理樹「あ、うん」
理樹くんは空になった弁当箱の蓋を閉じた。
ちゃんと最後まで食べてくれたんだねと、あたしはちょっと嬉しかった。
沙耶「手に入れるわよ」
拳銃を構え、あたしは理樹くんと一緒に地下迷宮の探検の続きを再開する。
沙耶「地下に眠る、秘宝を…!」
そしてあたしは、あたしたちは、闇の執行部部長・時風瞬を倒し―――
秘宝を、手に入れた――
あたしが、望んだ秘宝を……
ガラスの向こうで、理樹くんは必死にあたしの名前を叫んで、呼んでくれている。
拳銃の矛先を頭にぴったりと付けたあたしに。
あたしの名前を何度も、何度も呼んでくれた、理樹くん。
ありがとう……
楽しかったよ。
なのに、あたしの涙はとまらなかった。
もっと、彼がいるこの世界で楽しく過ごしたかった。
手に入るはずだった、だけど手に入れない、青春を―――
あたしは最後にありがとうと彼に伝えて、精一杯の笑顔で別れを告げた。
そしてあたしは引き金を引いた―――
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