始まり

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『でも今の私、血とか出てないし痛くもない…ですよ?』 制服もそのままだし、外傷も一つもない。 バッグだってしっかり持ってる。 「ああ…大丈夫なんですよ 貴方は『もう一人の高橋恵』ってものなんです」 『もう一人の…私?』 はい、と妖精は答える。 「もっとも、私が作り出したんですけどね 治療を受けてる間、意識が戻らない間、時間だけが過ぎていってしまいます。 でもそれじゃあ貴方の貴重な人生を損してしまうし、近々テストもあるでしょう? それの勉強だって出来ません」 『おっしゃる通り。』 「ですから、少し細工をしてみたんです。 今から恵さんには'ある時代'へ行って、様々なことを学んできていただきます」 『つまりトリップ?』 「いわゆるトリップですね」 『そんな都合の良い話が…』 「触れてはいけません。」 『はい。』 つまり'ある時代'に恵はこれから飛ばされるらしい。 んな無茶苦茶な。
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