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「久しぶりだけどボロいねぇ、・・キャッ!」
アサミの横を数名のガキが走り抜ける。
何をそんなに急ぐのか、おばちゃんこれ!と叫びながら、フリーパスを振り回して走り、ウワァァ!と動物園の中に入っていった。
「・・・。」
「・・・こ、子供ってスゴいね。」
門の前、呆然とする俺ら。
おばちゃんはまだ寝てた。
ようやく動物園に入って、最初に見えたのは、象だった。
「わあ!象だ、象!」
アサミは駆け出し、振り返って笑う。
「タカはやく!ほら象だよ!」
「見りゃ分かるって。アサミこけるぞ~。」
俺はなんとか苦笑してアサミの後を追う。
そう、なんとか。
だってよ、今のアサミ、めちゃくちゃ可愛かったんだぜ!?
あの笑顔!
しかも、俺だけに向けたんだぜ!?
学校ではいつも馬鹿な話しかしない、いい漫才相手なアサミ。
でも、俺は最初からずっと気になってた。
最初から友達止まりなんて嫌だって思ってた。
そんなこんなではや三年生。
ヘタレな俺がようやく掴んだチャンスなんだ。
絶対、絶対、絶対・・・!!
ブホブブブブ~!!!
象が放屁した。
「く、臭い!」
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