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そのニオイは、夏の熱気でムワッと立ち込めて、辺りに充満。
ブブブブブフゥ~。
象、まだ屁してやがる・・・。
さすがのアサミもかわいた笑いを見せた。
「あ、アハハ・・・。さすが象さんすごいねぇ・・・。」
俺も愛想笑いが精一杯だった。
「ハハ・・・本当だな・・・。よ、よし、次だ次!」
「そ、そうだよ!次!次!レッツゴー!!」
アサミと俺は、平静を装いながらも、あまりの臭さに悶絶しながら、象の前から退散した。
・・・象、恐るべし!
少し離れたところにある、シマウマの檻まで並んで歩く。
夏の午後の日差しは、身体にべったり絡みつく。
暑いね、なんてアサミが言ったのに、蝉の声に気をとられて、俺は返事のタイミングを失った。
妙な沈黙。
・・・あれ?
俺、いつもアサミと何しゃべってるっけ??
あれ?あれ??
えーと・・・、ほら、いつもは二人で大爆笑してんじゃんか!えーと、ほら、う~・・・。
ジリジリ。
沈黙が暑さで浮きだしになる。
さ、さっきの象の話とか・・・ダメだ!屁しか覚えてねぇ!初デートに屁とかねぇだろ!!
うわぁぁ!!
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