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カバのプールはウ○コで濁り、サルはストレスで禿げていた。
ヤギはよく見りゃ、瞳のところ、横長なんだな!ちょっと怖ぇし。
カンガルーは俺ん家の親父よりオッサンくさく寝てた。
動物園。
ショボい、ボロい動物園。
俺達の町の動物園。
そこには、目玉な動物はいないけど、狭い檻の中で、一生懸命生きてる動物がいる。
俺の初デートの場所。
ロマンチックな妄想がことごとく打ち砕かれた後に残ったのは、‘生きる’生々しさ。
アサミもだんだん現実が見えてきたのか、ラクダの脱糞に苦笑し、愛想なく寝ているライオンを暖かく見守っていた。
どんなに可愛い子だってウ○コするし、イケメンだって服脱ぎゃフリ○ンだし。
ストレス抱えたり、グダグダしたり。
生きるって、・・・忙しいな。
「ちょっと檻は狭いけど許してくれよ~。俺、将来、税金払って、少しは動物園に貢献するからさ。それまでお前ら、長生きしてくれよ~。」
「そうだねぇ。私、・・・受験終わったら・・・ボランティア、しようかな。」
マンドリル舎の前、ふいにアサミは俺を見た。
その目は優しくて、しっかりしてて。
俺の好きなアサミだった。
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