第二章 変わらぬ風景

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 編み目模様の天井と柔らかな光。それらはドーム状に球場を包みこんでいた。  僕は一回転しながら、周りを見渡した。カクテルライトや周囲をぐるりと囲んだ観客席、大型電光掲示板、なかなかに壮観だった。 「すっごいな。けっこう本格的や、ね」 『仮想空間だけど、わざわざ手間かけて作りこんだそうだよ』  横で全裸の開放感でも味わっているのかアバターは気持ち良さそうにしていた。  球場に全裸で突っ立ったやつはなかなかいないだろうな。 「へえ~でも2人しかいないんやけど」 『ルールは省いて、ただ打つだけにしてるから大丈夫だよ』  なるほどね、と僕は一人相槌を打つ。 「だいたいバッティングセンターと同じ感じか」 「ん、やったことあるの?」 「ふふふっ、町内会の地獄リーグで優勝したケルベロスチームの投手やぞ」 『ふ~ん』  アバターは興味なさげに自分のちんこをじっと見ていた。
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