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恐らく放り投げるようにバットを振って、残った一本を使うようだ。野球映画やスター選手の真似をして素人がよくやりそうなことだ。
アバターがバットを振った。
五、六本のバットは残ったままだ。
そして、バッターボックスで身構えるアバター。
「ムリムリ!! 君ムリだから。そんなバット持ったらダメだから」
審判が慌ててバットを取り上げる。
『えっだめなの?』
僕はベンチでずっこけた。
「どこのルールだよ」
小声の呟きも当人には届かないだろうが。
しかし、こんなの奴にとっては序の口か。僕はすぐに気持ちを落ち着けて、大きく欠伸をする。
どうせ、空振りか三振かボテボテのゴロで終わるんだろうな……。
半ば諦めの目でアバターを見つめていた。何故か、やつはバットを逆手に持って構えだした。
えっ、そんな打ち方聞いたことないんだけど。
そして、気が動転しているうちに投手の第一球が放り込まれた。
「ボール!!」
審判の声高らかな宣言。アバターは微動だにしなかった。投手の投げた球は、およそ145キロくらいか。
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