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「由美子ちゃんを…追い出してしまうのですか?」
私は、ゆっくりと
聞きました。
院長先生は、ただ
黙っているだけで、
ぐったりとしていました。
「…香美奈?本当にいいの?」
「………」
ずっと黙っている
香美奈に私は、
声を荒げて言いました。
「香美奈!!本当にいいの!!??」
バァンッ!!!!
香美奈が、おもっいきり
机を叩きました。
「良い訳ないでしょ!!
でも、あの子がいるだけで…このセンターを続ける事が、出来なくなる…。
それだけは、避けたい
私は、センターを守る為なら
"家族"を売るわ…」
…家族。
そうなのです。
香美奈は、このセンターの
子達を"家族"だと
思っているのです。
血が繋がっていなくとも。
「たくさんの"家族"と、一人の子供ならば…
選ぶのは…分かるでしょ?」
香美奈は、泣きながら
かすれた声で言いました。
「香美奈…」
私には、どうにもできない大きな壁が、今。
立ちふさがりました。
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