白石由美子

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どうすれば…、 咲月くんが、 間違えたのですか…? 早く…早く由美子ちゃんを見付出さなくては。 あの状況を、センターの方々に見られでもしてしまったら… もう…本当に 由美子ちゃんを 追い出さなくては いけなくなってしまう。 「ダメです…。後戻りが 出来なくなってしまう」 私は、ずっと 立ったまま 独り言の様に うなっていました。 「何をうなっているの!?」 「えっ…」 私は、振り返りました。 そこには、香美奈が 立っていたのです。 「なっ、何故ここに!?」 「事のあらましは、咲月から聞いたわ。 今は、私達しか由美子ちゃんの異変は知らない様にしたわ。」 「そうなのですか。ありがとうございました… 咲月くんに、由美子ちゃんはここにいると… ですが、いないのです」 「いない?」 「はい…咲月くんは、断言したのですが。 由美子ちゃん… いらっしゃらないのです」 香美奈は、考えた素振りをした後ハッとした様に ステンドグラスを見つめました。 「まさか…」 「どうなさったのですか?」 香美奈は、 静かに仰りました。 「鈴音…貴方は、先に戻っていなさい。」 「えっ…ええ。分かりました。」 香美奈に 気押され、 私は…言う通りに 従いました。
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