24人が本棚に入れています
本棚に追加
「って~…………」
桐人はヨロヨロと立ち上がった。
(さっき……茜が試練がどうとかって言ってたが……これが試練……?)
目の前に広がる景色はさっきと変わらず、強いて違うと言うなら茜がいないだけだった。
「桐人君!」
千里が心配そうに駆け寄って来る。
(やっぱりおかしい……。
これが試練だなんて……。)
「大丈夫?」
「…………」
「グルル……」
「さっきの化け物!」
「もう……追いついたの!?」
「千里!逃げろ!」
「うっ……うん分かった。」
(とは言ったものの……どうしよう……?
俺にはあの化け物を倒す力も、千里を守る力も無い…。
あっ……千里が危ない!)
桐人は無我夢中で千里をかばった。
(幾ら俺が死んでも…千里だけは守ってみせる!
俺にはどうする事も出来ないど……守ってみせる死ぬ気で千里を。)
化け物は桐人に向かって飛びつこうとする。
すると桐人の周りにバリアのような物が出てきて桐人を包んだ。
「こっ……これは……?」
「大切な者を守る力よ。」
茜の声が聞こえる。
その瞬間空間にひびが入り、音をたてて一気に砕けた。
「……あなたは試練に耐え抜いた。
約束通りあなたに力を上げる。」
「これが大切な物を守る力……?」
桐人は自分の手を見な
「私が殺るわ……。あなたはバリアでも張ってその子を守っていると良いわ……」
「お前戦えるのか?」
茜は、その問いには答えずに札を取り出して化け物に向かって投げつけた。
すると、その札は、音をたてて化け物の頭に刺さる。
「紫炎…………」
いきなり札が燃えて、化け物は消し飛んでしまった。
「どうやら動き出したようね。」
茜は何か心当たりが有るかのように言った。
「動き出した?」
「話しておいた方が良さそうね…………。」
最初のコメントを投稿しよう!