バレンタイン

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「キャー!」 「カッコイイ!」 「こっち向いてくれたよ!」 とまぁ、自分で言うのもなんだけど 学校でも人気がある。 そりゃもう、朝はいつもこんな感じだし、 告白なんて何回されたか分からない。 バレンタインだなんていう今日の日には、 チョコレートの山ができるくらい。 でも、嬉しくない。 人気があっても、 チヤホヤされても、 告白されても、 ちっとも嬉しくないんだ。 …なんでかって? 原因はアイツ 「山下くんのどこがいいか分かんない」 だって、好きな人に好かれてないんだから。 人気者でも、そんなの悲しすぎるだろ。 「おはよ、手越」 「山下くんは人気者ですねー  天狗になってません?」 「ヤキモチありがと」 「プラス思考なんですね」 「今日何の日か知ってる?」 「バレンタインですか?」 「俺にチョコは?」 「…欲しいんですか?」 「すごく欲しい!」 「今日もらったチョコ  ぜんぶ捨ててくれたらいいですよ」 「小悪魔だね」  
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