溢れる紅

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――ガチャ 「亮くん、ただいまっ!」 少し息を切らして帰って来てくれたことが嬉しい。 そんなにも早く俺に会いたかったのかな、なんて思い込んでみたり。 「貴久、おかえり」 すると君はすぐに俺に近づいて いつものように抱きしめるのだ。 「亮くん、もうやめようよ…  僕、もう亮くんの  傷つく姿見たくないんだ…」 「ごめんな。俺、弱いから…  これでしか、  生きてるって実感できへんねん」 君はこんな俺を突き放しもせず ただずっと抱きしめたまま 静かに涙を流した。  
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