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─伝えたかった想い─
「辛ェ…辛ェよ…。チキショー…辛すぎて涙出てきやがった…。」
綺麗に澄んだ夜空の下で食べた激辛せんべい。
今までで一番辛い味がしたように思えた。
キィィ…
後方からドアが開く音が聴こえた。
俺は慌てて目から流れ出る雫を腕で拭った。
「土方さん…。」
振り返ってみればそこには総悟の姿があった。
「…。」
総悟から何を言われるか予測していた俺は俯いて黙り、次の言葉を待った。
「…姉上の顔、見てやってくだせェ」
「!」
だが総悟の言葉は俺が予測していたものとは違った。俺は俯けていた顔を上げた。
俺がミツバに会ってもいいのか。
戸惑いがあった。
「お願いしまさァ」
そう言う総悟の目は真剣だった。
俺はすれ違い際に総悟の髪をクシャッと一撫でして屋上の階段を降りていった。
ミツバの元へー…。
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