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─…。
ミツバのいる部屋の前まで行くと、近藤さんや他の隊士の姿は無くなっていた。
皆気をきかせて席を外したのだろうか。
ドアを開けて部屋の中に入った。
コツ コツ コツ…と俺の足音だけが部屋に響いた。
コツ…。目の前には安らかな顔をして眠る愛しい人。
だが二度と眠りから覚めることはない。
「ミツバ…。」
手を握った。
昔の記憶が蘇る。
『あっ、十四郎さん、ここに怪我してる』
『これくらいなんともねェ』
『だめよ、バイ菌が入ったら大変じゃない。はい、バンソウコウ』
暖かかったあの手。
今は…
「冷てェ…。」
なぁ…ミツバ…、お前は幸せだったか?
『私…みんなの…十四郎さんの側にいたい』
あの時…本当は嬉しかった。
だけどいつ死ぬともしれねぇ身でお前を受け入れることはできなかった。
お前の幸せを思って拒絶した。
お前の幸せを願っていた。
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