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同意を求められた慎一も
『そうだな。昔からだから普通の感覚だな。』と言って笑っていた。
私は少し羨ましくなり
『慎君…か。私もそう呼んで良い?』と慎一に聞いたのだが樹里ちゃんが止めた
いきなり慎一の腕にしがみつきながら
『ダメ!慎君って呼べるのは樹里だけなんだよ!?いくら彼女でも絶対にダメ!』と本当に怒ったように言ってきた。
私は唖然としながらも空気を悪くしちゃいけない…と思い
『ゴメンね、冗談で聞いただけだから…』と謝った。
しかし樹里ちゃんは機嫌が直らず
『慎君いこう。』と言って慎一の腕を引っ張り先へ行ってしまった。
私はただ
呆然と2人の背中を見送る事しか出来なかった。
しかし時間が経つにつれて涙が溢れてきた。
―どうして慎一は樹里ちゃんを叱ってくれなかったの?
―彼女の私を庇ってくれなかった…
―樹里ちゃんだって、そこまで怒る事じゃなかったのに…
―離れてから1時間は経つのに慎一からメールも電話も無い…
それが一番悲しかった。
皆がいる前で泣く訳にはいかないから私はトイレに行き
泣いた。
そして慎一の携帯を鳴らしてみたが出ないし、かかってもこない。
私は言い様の無い寂しさに襲われながら、その日は1人で過ごして帰った。
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