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私が階段へ向かった頃、雪は古田君の教室へ着いていた。
『……。』
そっと中を覗く雪。
すると、そこには今から帰ろうとしている彼の姿があった。
それを確認した雪は入り口から
『古田君!ちょっと聞きたい事があるから!』と呼び出した。
部活でも顔見知りなので彼も普通に鞄を持ってやってきた。
『坂本さん、どうしたの?』
彼はいつもの笑顔を絶やさずに雪に聞いた。
『うん…えーっとね…聞きたい事があるってのは嘘なんだ。明日実が屋上前の階段で待ってるから行ってあげて欲しいの。』
雪は周りに聞こえない声で言った。
もし周りに聞こえたりしたら冷やかされ彼が逃げ出したりしたら意味が無いからだ。
すると彼は悟ったのか真剣な顔になり
『分かった。ありがとう』とだけ言い階段へ向かった。
残された雪は心の中で
『明日実、頑張って』と呟き下駄箱へと足を進めた。
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