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彼が私がいる階段に向かっている時、私は緊張し過ぎて変に髪型を気にしたりしていた。
鞄から鏡を取り出し化粧なんかした事も無い顔をチェックしたりしていると階段を上がってくる音が聞こえ、私は慌てて鏡を鞄に入れて足音のする方へ体を向けた。
しばらくすると、古田君が表れ
『お待たせ…坂本さんに言われて来たんだけど何かな?』と優しく聞いてくれた。
私は口を開いたが極度の緊張により言葉にならず黙り込んでしまった。
どのくらい黙り込んでしまったのだろうか?
多分、5分は黙ってしまっていたのに古田君は何も言わず待ってくれた。
…早く言わなきゃ…!
私は自分を励まし口を開いた。
『いきなり呼び出したりしてゴメンね。…私……前から古田君が好きで…その…付き合ってくれないかな?』
たったこれだけの台詞を言うのにも、また時間がかかったが古田君は最後まで聞いてくれた。
そして私が言い終わってから暫く考え
『うん…俺も前田さんの頑張ってるトコとか友達といる時の笑顔とか見てて好きになってたんだ。…俺で良いなら、よろしく』
と言って微笑んでくれた。
こうして私達は梅雨が明けて本格的な夏が来る前の6月末に付き合う事になった…
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