第一章

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 僕の方を驚いたような素振りで見て、悪戯っぽく、からかうように笑んでいる。  そうか、僕達ももう高三。受験だなんだって気にしなきゃいけないような歳になっていたんだな……。  なんて、若干感傷に浸ってみるのも悪くない。  ……まぁ、良くもないんだけど。 「こーちゃん! 今日も一日頑張りますか!」  校門前までついたところでそう言う。ひと月ほど前のある事件以来、依舞は毎朝こう言ってから校門をくぐるようになった。  僕にはこれが自己暗示に聞こえてならない。
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