第二章

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 あまり黙り込んでいても仕方ない。学校にも行かなきゃいけないし。 「あの……伊武さん、今日はどうしたんですか? そろそろ学校に行く時間なんですけど……」  率直な気持ちから言えば、依舞のことを聞き出したかったのだが、僕の伊武さんに対する苦手意識みたいなものがそれを阻んだ。 「そうか、君はまだ高校生だったね。これは配慮が足りなかったな。しかしなにぶん、俺も依舞の事となると見境が無くなるものでね」  なに……? 依舞のこと……? それなら話は別だ。  依舞のことで見境が無くなるのは僕も同じことなのだから――。
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