第二章

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 やはり僕の勘は当たっていたわけだが……。 「それじゃどうして依舞は一週間も休んでるんですか?」 「そう、そのことなんだよ。今日はそのことを話しに来た。だけど俺とは違って君には学校というものがあったね。また放課後にでも迎えに」 「いえ、学校はサボリます。依舞の方が大切ですから」  伊武さんの言葉を遮るように言った。だが、伊武さんは僕の言葉を受けても予想通りだとでもいうように、ニヤリと笑った。 「そうか、依舞は大層大事に扱われているんだね。兄としては心強い限りだよ」  ニコッと笑ったが、どうにもこの笑い方は伊武さんには似合っていなかった。
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