第二章

8/10
前へ
/254ページ
次へ
       Ⅲ  今日、初めて僕は学校をサボった。  けど、学校をサボってみても特になにも変わりはしなかった。  親父とは仕事から帰ってきてからも、ロクな会話はしないし、母親は僕が小学生の頃に既に死んでいる。だから、学校をサボったってバレないし、誰にも怒られることはなかった。  サボる者からしてみればこれほど良いこともないんだろうけど、僕は何故か少し寂しいような気分になった。  そもそも、僕が今日サボったのは朝、伊武さんが訪ねてきて、依舞の話をし始めたからで――。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加