第三章

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「こーちゃん? なんか固まっちゃってるけど、どうかした? 時間もまだあるし、暑いから中に入れて貰えると嬉しいんだけどなー?」  僕は自分が思っているよりも長考してしまっていたらしい。  それに、完全に失念していたが、ここは玄関だ。さっきから首筋を伝っている汗は、依舞の話を聞いての焦り以外にも、単純な暑さから来ているのかもしれない。 「あぁ……ごめん。そうだね、中に入って。お茶でも飲む?」  家を出るまでにはまだ一時間以上もある。それに僕は着替えてもいないんだった。
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