第三章

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 そう、根っからのパジャマ派の僕はまだパジャマだったのだ。寝ぼけていたから普通に戸を開けてしまったが、今思ってみれば、結構恥ずかしい事かもしれない。 「それじゃ、おじゃましまーす。依舞はお茶じゃなくてカルピスが良いなー」  依舞はにっこりと、しかしどこか陰のある――悪巧みをしている子どものような――笑顔で言った。 「カルピスか……、あったかな……。とりあえず探してみるから、そこの部屋でくつろいでてよ」  すぐ脇の和室を指差すと依舞は「ん、わかった」と言って襖を開けて姿を消した。
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