第三章

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 冷蔵庫を開けると心地良い冷気が漏れ出てきた。  とはいえ僕にとっては心地良くても、中の食品達にとっては迷惑も良いところだろう。地球だってこんなもんじゃ冷えやしないし。 「カルピスは、あるかなー……」  誰も聞いてやしないのに、ついひとりごちてしまう。 「お! あったあった」  カルピスの原液を取り出しコップに注ぎ、水で薄める。このままでも十分冷えているけど、見目にも涼しいように氷を二、三個浮かべた。 「依舞ー、作ってきたぞー。ほい。じゃ、ちょっと着替えてくる」  ぼーっと座っていた依舞の前にカルピスを置き、僕は二階へと上った。
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