第三章

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 僕の体重は当然ながら片足にかかっている。  また、そんなにバランス感覚も良いほうでは無かったので、なすすべもなく僕はベッドに倒れ込んだ。  何が起きたのかと、体をくるりと反転させ、腰から上だけがベッドに乗っている――違う見方をすれば体がずり落ちている――状態で後ろを振り返った。  反転させるのと同時に、何かが僕に覆い被さってきた。  両の手を万歳の形でベッドに押し付けられた。  体重をかけられては抵抗もままならない。  逆光の中浮かび上がった輪郭は確かに依舞のもので、徐々に近づいてくるのがわかった。
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